【条文順通関士講座】2024年放送【3月23日】

1.今回の内容

「事前教示」を確認する!

2.関税法

第七条(申告)

3 税関は、納税義務者その他の関係者から第一項の申告について必要な輸入貨物に係る関税定率法別表(関税率表)の適用上の所属、税率、課税標準等の教示を求められたときは、その適切な教示に努めるものとする。

3.関税法基本通達(抜粋)

納税申告等に係る事前教示

7―17 教示は、原則として、文書により照会を受け、文書で回答することにより行うこととする。これによらず、口頭により照会があった場合には、口頭で回答することとするが、次のように、輸入申告時等における取扱いが文書による場合と異なることに留意する。

(1) 文書による回答は、一定条件の下で、輸入申告の際、回答書に記載された内容(内国消費税等の適用区分及び税率並びに証明又は確認に規定する他法令の適用の有無を除く。)について尊重される取扱いが行われるものであるのに対し、口頭による回答については、このような取扱いが行われるものではないこと。

(2) 文書による回答は、照会者が再検討を希望する場合は、意見の申出を行うことが可能であるが、口頭による回答は、意見の申出を行うことができないこと。

関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係る事前照会に対する文書回答の手続等

7-18 文書による回答を求められた場合における関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会及び回答の手続等については次による。
(1) 照会者
照会は、輸入しようとする貨物の輸入者若しくは輸出者若しくは当該貨物の製法、性状等を把握している利害関係者又はこれらの代理人に行わせるものとする

(2) 対象となる照会の範囲
関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会で、次の要件の全てを満たす照会とする。
イ 架空の貨物に係る照会ではなく、具体的な貨物に係る照会であること
ロ 照会者が照会書及び資料を提出するとともに、照会内容の審査の際に、審査に必要な追加的な資料の提出が行われること
ハ 上記イ及びロのほか、照会の内容が次に掲げるような性質を有しないものであること
(イ) 照会者及びその利害関係者が、照会に係る貨物について不服申立て又は訴訟中である等、関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係る紛争等が生じているもの
(ロ) (イ)のほか、輸入申告中の貨物についての照会である場合等、事前教示の趣旨に反するもの

(3) 受理
イ 照会文書の受付窓口
照会は、原則として、税関の本関において受け付けるものとする。ただし、照会者が遠隔の地にある者等の場合には、署所で受け付けて差し支えない。
ロ 提出書類等
照会は、次に掲げる書類等各1通を提出させることにより行わせる。なお、照会者が郵便、信書便、宅配便その他これらに準ずる方法により提出することを希望する場合について、税関が受け付けることに支障がなく、かつ、効率的な検討に資すると認められるときには、これらの方法により税関の本関に提出することを認めて差し支えない。
(イ) 照会書
(注)一の照会書につき一品目の事前教示(セット物品を除く。)
(注)照会者が非公開期間設定を希望する場合には、非公開理由及び非公開期間(180日を超えない期間)を記載ものとする。
(ロ) 見本又はこれに代わる写真、図面その他参考となるべき資料
ハ 受理時の形式審査事務
照会書の提出があった税関の照会応答担当者は、次のとおり形式審査事務を行うものとする。
(イ) 照会応答担当者は、受理に際し、照会書の記載事項及び参考資料に不備がないことを確認する。
(ロ) 照会応答担当者は、照会書の記載事項に不明な点があるとき又は審査に必要な資料が不足しているときには、照会者に対して記載事項の補正又は資料の追加提出等を求め、当該記載事項の補正又は資料の追加提出等がなされるまでは、当該照会文書は受理しない。なお、記載事項の補正又は資料の追加提出等を求める場合には、原則、口頭により行うこととするが、必要に応じて、その旨を欄外に記載し照会書を返付することにより行うこととする。
(ハ) 照会応答担当者は、照会者に対して照会書の注意事項について説明するとともに、下記ⅰからⅳまでに掲げる事項(原産地に関する照会である場合はⅳに掲げる事項を除く。)を確実に伝えるとともに、照会された貨物に係る当該照会者の輸入実績及び輸入予定日について確認するものとする。
ⅰ 事前教示回答内容は、税関としての見解であり、照会者の申告内容等を拘束するものではない旨
ⅱ 架空の貨物に係る照会その他の事前教示の趣旨に反する照会については、回答することができない旨
ⅲ 照会に対する回答については、不服申立ての対象とはならない旨
(注) 照会に対する文書回答について照会者が意見の申出をする場合には、下記(8)により処理することとなる。
ⅳ 回答のうち、内国消費税等の適用区分及び税率並びに他法令の適用の有無に係るものは、税関限りの意見に基づく単なる情報にすぎないので、正式回答を要する場合には、主管官庁に問い合わせる必要がある旨

(4) 受理後の処理
ハ 検討期間
照会を受理してから30日以内の極力早期に、当該照会に対する回答を行うよう努めるものとする。ただし、当該期間には、次の期間を含めないものとする。

(5) 文書回答手続等
照会に対する文書回答手続等は、次による。
イ 文書回答の対象とならない場合
「文書回答の対象となる事前教示照会に当たらない旨のお知らせ(通知)」を送付する。
ロ 文書回答の対象となる照会に対する回答書の交付等
「回答書」により回答する。

(6) 公開
関税率表適用上の所属区分等の適用及び原産地認定の透明性の向上を図っていく観点から、照会貨物の内容及び回答の内容は、回答後原則として公開とし、税関ホームページ等を利用して輸入者等一般の閲覧に供するものとする。ただし、次の要件に該当する場合で、照会者から一定期間内(180日を超えない期間内)につき公開しないことを求める申出があったものについては、当該申出に係る期間後に公開することとする。ただし、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当すると考えられる部分や守秘義務に抵触すると考えられる部分については、当該部分を伏せて公開することに留意する。
イ 照会対象となった貨物が新規の輸入品であり、市場に流通する前に他者に知られることにより照会者又はその関係者が不利益を受けるおそれがある場合
ロ 照会対象となった貨物の照会内容のうち成分割合に特徴があり、公開によって競合する者に知られ照会者又はその関係者が不利益を受けるおそれがある場合
ハ 照会対象となった貨物の照会内容のうち製造方法に特徴があり、公開によって競合する者に知られ照会者又はその関係者が不利益を受けるおそれがある場合
ニ 照会対象となった貨物がまだ計画段階であり、実際に貨物が輸入される前に他者に知られることにより照会者又はその関係者が不利益を受けるおそれがある場合
ホ 照会対象となった貨物に係る情報が、照会に際して秘匿を条件として照会者又はその関係者から提出された場合
ヘ その他非公開とすることにつき、正当な理由があると認められる場合

(7) 変更及び撤回

(8) 意見の申出
イ 文書により行われた回答等における関税率表適用上の所属区分若しくは統計品目番号又は原産地(再検討対象項目)について、照会者が、再検討を希望するものとして意見を申し出る場合には、当該照会者が、回答等の交付又は送達を受けた日の翌日から起算して2月以内に、申出書(事前教示回答書(変更通知書)に関する意見の申出書)を、当該回答等を行った税関に提出させることにより行わせる。

(9) 輸入(納税)申告書に添付された回答書等の取扱い
輸入(納税)申告書に添付された回答書及び変更通知書の取扱いは次によるものとする。
イ 輸入(納税)申告書に、「回答書等」が添付されている場合には、当該申告書の審査上、当該回答書等に記載された関税率表適用上の所属区分、関税率及び統計品目番号並びに原産地を尊重するものとする。
ロ 次のいずれかに該当する回答書等に記載された関税率表適用上の所属区分、関税率及び統計品目番号並びに原産地は、その該当する限度において、輸入(納税)申告書の審査上、尊重しないものとし、当該回答書等は、当該申告書の審査を終了した後、返付させるものとする。
(イ) その発出日から3年を経過した回答書等
(ロ) 輸入貨物の貨物説明と合致しない貨物説明に基づく回答書等
(ハ) 法令又は通達の改正により、参考とならなくなった回答書
(ニ) 法令又は通達の適用を誤った回答書等
(ホ) 上記(イ)から(ニ)までのいずれにも該当しない回答書等で、次に掲げるもの
ⅰ 変更又は撤回の通知が行われた回答書等
ⅱ 変更し、又は撤回すべき回答書等

(10) その他

関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係る事前照会に対する口頭回答の手続等

7-19-1 口頭による回答を求められた場合における関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会及び回答の手続等については、次による。
(1) 照会者
照会は、輸入しようとする貨物の輸入者、輸出者若しくは当該貨物の製法、性状等を把握している利害関係者又はこれらの代理人に行わせるものとする。

(2) 対象となる照会の範囲
照会者が口頭により回答を希望する関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会で、次の要件の全てを満たす照会
イ 架空の貨物に係る照会ではなく、具体的な貨物に係る照会であること
ロ 照会者が、照会内容の審査の際に、審査に必要な追加的な資料の提示が行われること
ハ 上記イ及びロのほか、照会の内容が次に掲げるような性質を有しないものであること
(イ) 照会に係る貨物について、当該照会者及びその利害関係者が当該貨物について不服申立て又は訴訟中である等、関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係る紛争等が生じているもの
(ロ) 照会に係る貨物を的確に把握し、適切な回答を行うために、文書による事前教示を行わせることが相当と判断されるもの
(ハ) (イ)及び(ロ)のほか、輸入申告中の貨物についての照会である場合等、事前教示の趣旨に反するもの

(3) 照会に対する口頭による回答
イ 関税率表適用上の所属区分等又は原産地について口頭による回答を求められた場合には、次の事項について聴取するものとする。
(イ) 照会者の名称、担当者名、連絡先電話番号及び輸入者、輸出者若しくは利害関係者又はこれらの代理人の別
(ロ) 照会に係る貨物の説明及び照会者の意見
(ハ) 照会に係る貨物の輸入予定時期及び輸入申告予定官署
(ニ) その他参考となる資料の有無
なお、提示された条件では、該当する関税率表適用上の所属区分等又は原産地が決められない等の理由により回答できない場合には、回答できない理由について説明するとともに、不足している条件について助言を行う等、適切な対応に努めるものとする。
ロ 輸入申告に際して行われる照会は、可能な限り当該貨物に係る輸入申告書の添付書類を提示することにより行わせ、また、必要に応じて事前検査により貨物確認を行った上、回答を行うものとする。
ハ 原則として、本関において回答を行うものとするが、遠隔地の署所においては、本関と協議の上、処理することができるものとする。ただし、回答すべき内容が簡易な場合には、回答を求められた署所が回答することとして差し支えない。
ニ 回答に当たっては、照会者に対し、口頭による照会及び回答の趣旨について説明を行うこととし、特に次の事項を伝えるものとする。
(イ) 口頭による照会に対する回答については、輸入申告の際には尊重されるものではなく、輸入申告の際に尊重される回答を希望する場合には、文書による回答を求める必要がある旨。
(ロ) 関税率表適用上の所属区分等に関する照会である場合には、回答のうち、内国消費税等の適用区分及び税率並びに他法令の適用の有無に係るものは、税関限りの意見に基づく単なる情報にすぎないので、正式回答を要する場合には、主管官庁に問い合わせる必要がある旨
(ハ) 照会に対する口頭回答は、不服審査の対象とならず、また当該回答について意見の申出を行うことはできない旨
(ニ) 架空の貨物に係る照会その他の事前教示の趣旨に反する照会については、回答することができない旨
ホ 口頭により回答を行った場合において、当該回答を変更し、又は撤回する必要があると認められるときは、照会者に対し、口頭によりその旨連絡するように努めるものとする。

(4) その他
イ 回答の内容が軽微なものである場合を除き、照会の概要及び回答内容等のポイントを「口頭照会に対する回答記録票」又は「口頭照会に対する回答記録票(原産地用)」にとどめるものとする。
ロ 照会者から照会があった場合には原則として即日回答を行うよう努めるものとする。ただし、例えば回答又は質問のための税関からの電話等に照会者が応答しないなど税関の責めに帰すことができない理由がある場合を除く。

関税率表適用上の所属区分等又は原産地に係るインターネットによる事前照会に対する回答の手続等

7-19-2 インターネットによる関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会及び回答の手続等については、次による。
(1) 照会者
照会は、輸入しようとする貨物の輸入者、輸出者若しくは当該貨物の製法、性状等を把握している利害関係者又はこれらの代理人が行うものとする。

(2) 対象となる照会の範囲
関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会で、要件の全てを満たす照会。

(3) 受付
イ 照会の受付窓口
照会は、当該照会に係る貨物の主要な輸入申告予定官署が判明している場合には、原則として当該輸入申告予定官署が所属する税関において受け付け、それ以外の場合には、当該照会者の所在地を所轄する税関において受け付けるものとする
ロ 照会の方法
インターネットによる関税率表適用上の所属区分等又は原産地に関する照会は、電子メール本文に、次の事項について記入の上、税関の事前照会用電子メールアドレスに送信することにより、行うものとする。
(イ) 照会者の名称、担当者名、連絡先電話番号、連絡先電子メールアドレス及び輸入者、輸出者若しくは利害関係者又はこれらの代理人の別
(ロ) 照会に係る貨物の説明及び照会者の意見
(ハ) 照会に係る貨物の輸入予定時期及び輸入申告予定官署
(ニ) その他参考となる資料の有無
ただし、照会者が、インターネットによる照会を文書による照会に準じた取扱いに切替えること(切替え)を希望する場合は、「インターネットによる事前教示に関する照会書」又は「インターネットによる事前教示に関する照会書(原産地照会用)」(照会書)に必要事項を記載し、これらを電磁的記録とした電子メールを、税関の事前照会用電子メールアドレスに送信することにより行うものとする。(注) 一の照会につき一品目の事前教示とする(セット物品を除く。)。
(注)  照会書による照会のうち、照会者が、非公開期間設定を希望する場合には、非公開理由及び非公開期間(180日を超えない期間)を照会書に記載するものとする。

(4) 照会に対する回答等
インターネットによる事前照会に対する回答等は、切替えを行うことを照会者が希望する場合を除き、照会者に対して、当該照会の照会者連絡先電子メールアドレスに送信すること等により行う。なお、関税率表適用上の所属区分等又は原産地を決定するために追加的な資料の提出を要する場合であって、当該資料が、写真又は図面等であり、電子メールにより送信することが適当でない等の理由により、適切な回答を行うために、文書による事前教示を行うことが適当と判断される場合には、その旨及び理由を照会者連絡先電子メールアドレスに送信する。

(5) 文書による照会に準じた取扱いへの切替え等
イ 切替えを希望する旨が記載された照会書による照会については、照会者が切替えを希望しているものとして取り扱う。
ロ 上記イの照会のうち、具体的な貨物に係る照会であり、見本の提出を要することなく、一の関税率表適用上の所属区分及び一の統計品目番号又は一の原産地について、文書で回答することが可能であると認められる場合に限り、切替えを行うことができる
なお、受付税関は、切替えの可否について可及的速やかに決定し、照会者に連絡することとする。
ハ 切替えを行う場合の手続等については、次による。
(イ) 切替えを行うときは、インターネットによる照会を文書による照会に準じた取扱いに切り替えた旨を電子メール本文に記入し照会者に送信する。
(ロ) 切替え後の具体的な手続等については、文書による照会に係る手続に従うものとする。
ニ 切替えを行わない場合の手続等については、次による。
(イ) 「インターネットによる照会を文書による照会に準じた取扱いに切り替えることができない旨のお知らせ(通知)(電子メールによる事前照会回答書兼用)」又は「インターネットによる照会を文書による照会に準じた取扱いに切り替えることができない旨のお知らせ(通知)(インターネット事前照会回答書兼用)(原産地回答用)」を作成し、これらを電磁的記録として電子メールにより送付することにより、切替えを行うことができない旨及び当該照会に対する回答の内容を照会者に対して連絡する。

4.補足

・輸入申告中の貨物
・輸出予定の貨物