1.今回の内容
「関税定率法 ①税率」をマスターする!
・条文の確認
[関税定率法]第3条(課税標準及び税率)
関税は、輸入貨物の価格又は数量を課税標準として課するものとし、その税率は、別表による。
[関税定率法基本通達]3-1(税率の適用関係)
基本税率、協定税率、EPA税率又は暫定税率の適用関係については、次による。
(1)同一品目について基本税率と暫定税率とがある場合においては、暫定税率を適用し、暫定税率がない場合においては、基本税率を適用する。
(2)協定税率がある場合において、その協定税率が上記(1)により適用されることとなる税率より低いときは、その協定税率を適用する。
(3)協定税率がある場合において、その協定税率が上記(1)により適用されることとなった税率と同一のときは、上記(1)により適用されることとなる税率を適用する。
(4)EPA税率がある場合において、そのEPA税率が上記(1)から(3)までにより適用されることとなる税率より低いときは、そのEPA税率を適用する。
(5)EPA税率がある場合において、そのEPA税率が上記(1)又は(2)により適用されていることとなる税率と同一のときは、上記(1)又は(2)により適用されることとなる税率を適用する。
(6)特恵関税の適用がある場合には、他の税率に優先して特恵税率を適用する。
[関税定率法]第3条の2(入国者の輸入貨物に対する簡易税率)
1 前条の場合において、本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入し、又は…別送して輸入する貨物に対する関税の率は、関税に関する他の法律の規定にかかわらず、輸入貨物について課される関税、内国消費税及び地方消費税の率を総合したものを基礎として算出した別表の付表第一による。ただし、その者が入国の際に携帯して輸入する貨物又は別送して輸入する貨物のそれぞれの全部について同表によることを希望しない旨を税関に申し出たときは、この限りでない。
別送して輸入する貨物の取り扱い……… ・本邦への入国の際に、当該貨物の品名、数量、輸入の予定時期及び予定地並びに積出地を記載した申告書を税関長に提出してその申告をしたことについての確認を受け、税関長がやむを得ない特別の事由があると認める場合を除くほか、その入国後6月以内に当該貨物を輸入しなければならない。 ・税関長は、申告書の提出があったときは、当該申告書にその申告があった旨を記載してこれを還付するものとする。 ・貨物を輸入する者は、その輸入申告の際に、前項の規定により還付された申告書を税関長に提出しなければならない。 |
2 前項の規定は、次に掲げる貨物には適用しない。
①関税定率法その他関税に関する法律の規定により関税の率が無税とされている貨物及び関税が免除される貨物
②関税法第10章(罰則)の犯罪に係る貨物
③商業量に達する数量の貨物、高価な貨物その他本邦の産業に対する影響等を考慮して別表の付表第一の税率を適用することを適当としない貨物として政令で定める貨物
政令で定める貨物……… ① 略 ②貨物の種類、数量及び価格、入国者の職業及び入国の事由その他の事情を勘案して明らかに商業量に達すると認められる数量の貨物。ただし、当該貨物の課税価格が10万円以下であるものを除く。 ③前2号に掲げるもののほか、1個又は1組の課税価格が10万円を超えるもの |
[関税定率法]第3条の3(少額輸入貨物に対する簡易税率)
1 第3条(課税標準及び税率)の場合において、輸入貨物の課税標準となる価格の合計額が20円以下の輸入貨物(本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入し、又は前条第1項の政令で定めるところにより別送して輸入する貨物を除く。)に対する関税の率は、関税に関する他の法律の規定にかかわらず、別表の付表第二による。ただし、当該輸入貨物を輸入しようとする者(当該輸入貨物が郵便物である場合にあっては、当該郵便物の名宛人)が当該輸入貨物の全部について同表によることを希望しない旨を税関に申し出たときは、この限りでない。
2 前項の規定は、前条第2項第1号及び第2号に掲げる貨物並びに本邦の産業に対する影響等を考慮して別表の付表第二の税率を適用することを適当としない貨物には適用しない。
2.確認問題
【第1問】35回 通関実務 第1問改題
関税率が下表のとおり定められているAからEまでの貨物でWTO加盟国である米国を原産地とするものが、米国から特恵受益国であるフィリピンに輸出された後、何らの加工等がされず、そのままの状態でフィリピンを仕出国として我が国に輸入される場合、それぞれの貨物について適用される関税率について、( )に入れるべき最も適切な番号を選びなさい。
基本税率 | 協定税率 | 特恵税率 | 暫定税率 | |
A | ①5% | ②10% | - | - |
B | ③6% | ④4% | ⑤無税 | - |
C | ⑥8% | ⑦2% | - | ⑧1% |
D | ⑨20% | ⑩25% | ⑪3% | ⑫25% |
E | ⑬7% | - | ⑭無税 | ⑮11% |
Aの貨物の関税率は( イ )である。
Bの貨物の関税率は( ロ )である。
Cの貨物の関税率は( ハ )である。
Dの貨物の関税率は( ニ )である。
Eの貨物の関税率は( ホ )である。
【第2問】50回 関税法12問
次の記述は、関税定率法別表(関税率表)及び関税暫定措置法別表第1(暫定関税率表)に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
1 同一品目について関税率表の税率と暫定関税率表の税率とがある場合においては、暫定関税率表の税率が適用される。
2 関税率表第77類は、将来使用する可能性に備えて保留されており欠番となっている。
3 暫定関税率表の税率については、その適用期限が設けられていない。
4 関税率表の税率が無税とされている物品については、当該物品の輸入申告の際に、その課税標準となるべき価格を申告することを要しない。
5 暫定関税率表の税率は、すべて一定の数量を限度として定められている。
【第3問】オリジナル問題
次の記述は、関税定率法に規定する簡易税率に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。
1 郵便物である輸入貨物については、関税定率法第3条の3(少額輸入貨物に対する簡易税率)に規定する簡易税率を適用することができない。
2 関税定率法第3条の3(少額輸入貨物に対する簡易税率)に規定する簡易税率は輸入貨物の課税標準となる価格の合計額が10万円を超える輸入貨物には適用しない。
3 本邦に入国する者が別送して輸入する貨物で、一個又は一組の課税価格が1万円を超えるものについては、簡易税率ではなく一般の税率が適用される。
4 本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入した貨物については、入国者が簡易税率の適用を希望しない旨を税関に申し出たときには、一般の税率が適用される。
5 本邦に入国する者が別送して輸入する貨物に対して簡易税率を適用する場合、入国後3月以内に当該貨物を輸入しなければならない。
・応用動画
【条文順通関士講座】通関士試験前日まで、あと21週(仮)【プラス】
3.次回の内容
【条文順 通関士講座】通関士試験前日まで、あと20週(仮)
「②課税価格決定の原則」をマスターする!