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1.今回の内容
関税法⑧ 「不服申立て」を確認する!
2.ピックアップ問題(第58回通関士試験(令和6年))
①関税法等 第26問
次の記述は、関税法第8章に規定する不服申立てに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
1 関税法の規定による税関長の処分について審査請求があった場合には、財務大臣は、その審査請求人から関税等不服審査会への諮問を希望しない旨の申出がされているときは、当該審査請求に参加する者から当該諮問をしないことについて反対する旨の申出がされているときであっても、当該諮問を要しない。
2 税関長が、輸入されようとする貨物が商標権を侵害する物品に該当すると認定し、当該貨物を輸入しようとする者に対しその旨を通知した場合、その通知についての財務大臣に対する審査請求は、その税関長に対する再調査の請求をした後でなければすることができない。
3 関税法第89条に規定する再調査の請求をすることができる税関長の処分には、同法第69条の11第3項の規定に基づく輸入されようとする貨物が風俗を害すべき物品に該当すると認められる旨の通知は含まれないこととされている。
4 関税の滞納に関する税関長の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経ないことについて正当な理由があるときは、当該裁決を経ることなく、提起することができることとされている。
5 関税の徴収に関する税関長の処分についての財務大臣に対する審査請求は、当該税関長に対する再調査の請求をしない場合には、正当な理由があるときを除き、処分があったことを知った日の翌日から起算して6月を経過する日までは、することができることとされている。
3.①の解説と条文の確認
1 関税法の規定による税関長の処分について審査請求があった場合には、財務大臣は、その審査請求人から関税等不服審査会への諮問を希望しない旨の申出がされているときは、当該審査請求に参加する者から当該諮問をしないことについて反対する旨の申出がされているときであっても、当該諮問を要しない。
条文の確認………関税法 第91条(審議会等への諮問)
関税法又は他の関税に関する法律の規定による財務大臣又は税関長の処分について( ① )があったときは、財務大臣は、次のいずれかに該当する場合を除き、関税等不服審査会に( ② )しなければならない。
(1)審査請求人から、その諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人から、当該諮問をしないことについて( ③ )旨の申出がされている場合を除く。)
(2)~(4)略
類似問題
・関税法の規定による税関長の処分について審査請求があった場合には、財務大臣は、その審査請求人から関税等不服審査会への諮問を希望しない旨の申出がされており、当該審査請求に参加する者から当該諮問をしないことについて反対する旨の申出がされていないときであっても、当該諮問をしなければならない。
2 税関長が、輸入されようとする貨物が商標権を侵害する物品に該当すると認定し、当該貨物を輸入しようとする者に対しその旨を通知した場合、その通知についての財務大臣に対する審査請求は、その税関長に対する再調査の請求をした後でなければすることができない。
条文の確認………関税法 第89条(再調査の請求)
1 関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関長の処分に不服がある者は、再調査の請求をすることができる。
2 略
条文の確認………行政不服審査法 第2条(処分についての審査請求)
行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる。
条文の確認………行政不服審査法 第5条(再調査の請求)
1 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して( ① )をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第2条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
2 略
類似問題
・関税の確定に関する処分についての審査請求は、当該処分についての再調査の請求をした後でなければ、することができない。
3 関税法第89条に規定する再調査の請求をすることができる税関長の処分には、同法第69条の11第3項の規定に基づく輸入されようとする貨物が風俗を害すべき物品に該当すると認められる旨の通知は含まれないこととされている。
条文の確認………関税法基本通達 89-1(「税関長の処分」の範囲)
関税法第89条第1項に規定する「税関長の処分」には、(原則として、)次の行為が含まれるので留意する。
(1)税関長が( ① )の名においてする処分
(2)収容及び留置
(3)法第118条第5項本文及び法第134条第4項ないし第6項の規定により徴収する関税の賦課若しくは徴収又は( ② )
(4)法第69条の2第3項及び法第69条の11第3項の規定による通知
条文の確認………関税法 第69条の11(輸入してはならない貨物)
1 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
(1)~(6)略
(7)( ③ )を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品((8)に掲げる貨物に該当するものを除く。)
(8)児童ポルノ
(9)特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置
利用権又は育成者権を侵害する物品(意匠権又は商標権のみを侵害する物品にあっては、次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)(9)の2 意匠権又は商標権を侵害する物品(外国から日本国内にある者(意匠権を侵害する物品にあっては当該物品を業として輸入する者を除くものとし、商標権を侵害する物品にあっては業としてその物品を生産し、証明し、又は譲渡する者を除く。)に宛てて発送した貨物のうち、持込み行為に係るものに限る。)
(10)略
2 略
3 税関長は、この章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに第1項(7)又は(8)に掲げる貨物に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物があるときは、当該貨物を輸入しようとする者に対し、その旨を通知しなければならない。
類似問題
・関税法第89条第1項に規定する再調査の請求をすることができる税関長の処分には、同法第69条の2第3項の規定に基づく輸出されようとする貨物が児童ポルノに該当すると認められる旨の通知は含まれない。
4 関税の滞納に関する税関長の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経ないことについて正当な理由があるときは、当該裁決を経ることなく、提起することができることとされている。
条文の確認………行政事件訴訟法 第8条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
1 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においても、次のいずれかに該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
(1)審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないとき。
(2)処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
(3)その他裁決を経ないことにつき( ① )があるとき。
3 略
類似問題
・関税の滞納に関する税関長の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないときは、当該裁決を経ることなく、提起することができることとされている。
5 関税の徴収に関する税関長の処分についての財務大臣に対する審査請求は、当該税関長に対する再調査の請求をしない場合には、正当な理由があるときを除き、処分があったことを知った日の翌日から起算して6月を経過する日までは、することができることとされている。
条文の確認………行政不服審査法 第18条(審査請求期間)
1 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して( ① )(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して( ② ))を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して( ③ )を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3 略
類似問題
・関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関長の処分についての審査請求は、当該処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して1年又は当該処分があったことを知った日の翌日から起算して3月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1月)を経過したときは、正当な理由があるときを除き、することができない。